自営業者のお金の借り方にはどんな方法があるの?
自営業の方がお金を借りたい理由として考えられるのは、生活費と事業資金の捻出でしょう。急な出費で生活費が不足してしまった、取引先からの入金が遅れて資金繰りが苦しいなど、お金を借りて当面の金欠の事態をしのぎたい時もあるはずです。
自営業者はサラリーマンは違い、必ずしも毎月一定の収入があるとは限りません。その月によって収入が多い月もあれば少ない月もあることでしょう。安定した収入を求められるのが金融機関のキャッシングであるため、自営業だと審査で不利になってしまうのではないかという不安もあるでしょう。
経営者でもある自営の方のお金の借り方にはどんな方法があるのでしょうか。主に考えられる3つの方法について解説していきます。
自営業者のお金の借り方3選
- 銀行や消費者金融のカードローンで借りる
- 事業者向けローン、ビジネスローンを利用する
- 日本政策金融公庫からお金を借りる
- 信用保証協会の保証付融資を利用する
銀行や消費者金融のカードローンでお金を借りる
銀行や消費者金融のカードローンの利用条件では、20歳以上で安定した収入がある方となっています。自営業者の収入が継続的に安定しているかということは、審査通過の大きなポイントと言えるのです。カードローンの基本は無担保・保証人なしであるため、本人の返済能力が何よりも大事になります。
利用者の返済能力の有無について判断する基準は銀行と消費者金融では違いがあるようです。自営業の方がカードローンからお金を借りる場合には、審査基準やそれぞれの特徴の違いについても知っておく必要があります。
銀行カードローンと消費者金融の特徴の違い
- 銀行:消費者金融よりも審査基準が厳しい、事業性資金には利用できない
- 消費者金融:銀行よりも審査基準が柔軟、事業性資金にも利用可能
銀行カードローンは消費者金融よりも審査基準が厳しい上に、事業性資金での利用は不可となっています。一方、消費者金融の審査は銀行カードローンよりも柔軟な内容となっていて、更には事業資金での利用も可能です。この2つの点を踏まえた上で、利用するカードローンを選択することが大事になってきます。
審査の通りやすさを重視するのであれば、銀行よりも消費者金融の方がおすすめとなるでしょう。事業資金のみの利用であれば、カードローンではなくて事業者ローンやビジネスローンの利用を初めに選択した方が良いかも知れません。
自営業者がカードローンでお金を借りる時の注意点
自営業者がカードローンからのお金の借り方を選択した場合、通常は銀行か消費者金融を利用することになるでしょう。いずれかのサービスを利用する場合の注意点は以下のようになります。
自営業者がカードローンでお金を借りるための注意点
- まず初めに低金利の銀行カードローンに申し込みしてみる
- 希望借入額を低めに抑える
- 生活費と事業資金の両方で利用したい場合には消費者金融に申し込みする
- 確定申告書などの収入証明書類を事前に準備しておく
まず初めに低金利の銀行カードローンに申し込みしてみる
審査に通るか心配な自営業の方であっても、まず初めに低金利の銀行カードローンに申し込みしてみることをおすすめします。返済期間が長くなるほど金利の差が大きくなるのです。金利が低いほど支払う利息が少なくなり、毎月の返済の負担を軽減しやすくなります。
審査の通りやすさを一番に考える方は多いかも知れません。確かに、消費者金融であれば銀行よりも審査が通りやすい状況にあるようです。大手消費者金融では審査通過率を定期的に発表しています。アコムでは2018年3月の新規貸付率(審査通過率)が44.8%であったとマンスリーレポートで公表しているんです。
アコムに限らず他の大手キャッシングサービスでも同様に高い審査通過率となっていますので、どうしてもCMでも有名な消費者金融を選択したくなることでしょう。即日融資も可能ですし、初回の利用では30日間無利息サービスを実施している場合もあります。
借りてすぐに返せるのであれば、サービスの充実している大手消費者金融を選択するのも有りと言えますが、返済期間が長期にわたることが予測できる場合であれば、審査に通るか不安ではあっても低金利の銀行カードローンに申し込みすることがおすすめとなるのです。
希望借入額を低めに抑える
自営業の方が銀行カードローンや消費者金融に借入申込をする場合、特に1年ほどの営業実績しかない状況であれば、借入希望額を低めに抑えて申告することをおすすめします。審査基準が厳しいと言われている銀行カードローンであっても3年程の営業実績があれば審査通過の確立も高まるという口コミ(参考:もあるため、はじめてキャッシング「社長1年目の信用度は低い」)、起業して2年以下の場合には借入れの希望額も低めにする方が無難と言えるのです。
開業して間もない頃は、節税に努める場合も多いことでしょう。軽費を上手く利用して節税をするのは良いのですが、営業所得が少なくなるという側面もあるため、安定収入を求めるキャッシング審査では不利になってしまうのです。所得が少ない状況での高額融資は難しいでしょう。
多くの借入額を希望する場合には、申し込みをした金融機関から「よほどお金の困っているのだろう」と判断されてしまう心配もあります。融資額が大きくなれば返済できない可能性も高くなるため、貸し倒れになるリスクも高まるのです。どうしても審査に通りたい時ほど、必要最低限の金額を希望する必要があります。
生活費と事業資金の両方で利用したい場合には消費者金融に申込む
銀行カードローンは、個人のための利用としては使い道自由としていますが、事業資金での利用を禁止しています。消費者金融では、個人用だけでなく事業資金としての借り方も可能な場合が多いです。
カードローンで借入れた資金を生活費と事業資金の両方で利用する予定がある場合には、初めから消費者金融での借り方を選択すると良いかも知れません。大手はもちろんですが、中堅消費者金融でも事業資金の利用も可能としている場合が多いです。
確定申告書などの収入証明書類を事前に準備しておく
現在では、銀行カードローンも消費者金融と同様に総量規制の原則にならって50万円を超える借入れ、他社との合計で100万円を超える借入れの際に収入証明書の提出が必要になっています(参考:日本経済新聞「銀行、カードローン抑制 多重債務問題に対応 」)。自営業の方が収入面に不安があると判断される場合には、50万円を超える借入額でなくても収入証明書の提出を求められることもあるでしょう。
例えば、三菱UFJ銀行カードローン「バンクイック」では、本人を確認できる運転免許証や健康保険証、パスポートや個人番号カードなどの他に収入証明書として以下のような書類が必要になっています。
銀行カードローンと消費者金融の特徴の違い
- 源泉徴収票
- 住民税決定通知書
- 納税証明書その1・その2(個人事業者の方)
- 確定申告書第1表・第2表
常に手元にある本人確認書類の運転免許証や健康保険証などとは違い、収入証明書には今すぐには手に入らない書類もあります。金融機関からカードローンでの借り方を予定している場合には、早めに書類の用意をしておく必要があるでしょう。
事業者向けローン、ビジネスローンを利用する
自営業であるため安定収入に不安が残り、結果的にカードローン審査になってしまう場合もありますが、事業者向けローンやビジネスローンであれば安心して申込みができるでしょう。大手消費者金融でもビジネスローンが利用できる場合が多く、総量規制の対象外となっているため、年収の3分の1を超える借入れも可能です。
銀行や消費者金融、クレジット会社が提供している事業者ローン・ビジネスローンは多数あります。
数多くある事業者ローンやビジネスローンの一例
- 三井住友銀行「ビジネスセレクトローン」:利用限度額1億円まで、金利2.125%(実質年率)〜
- 横浜銀行「〈はまぎん〉スーパービジネスローン」:利用限度額:最大5千万円まで、固定金利2.75%(実質年率)〜、変動金利2.95%(実質年率)〜
- アコム「ビジネスサポートカードローン」:利用限度額1万円〜300万円、金利12.0%〜18.0%(実質年率)
- プロミス「自営者カードローン」:利用限度額300万円まで、金利6.3%〜17.8%(実質年率)
- アイフル「事業サポートプラン(無担保ローン)」:利用限度額1万円〜500万円、金利3.0%〜18.0%(実質年率)
- 楽天カード「楽天スーパービジネスローン」:利用限度額50万円〜3000万円、金利3.0%〜15.0%(実質年率)
- オリコカード「CREST for Biz」:利用限度額300万円まで、金利6.0%〜18.0%(実質年率)※入会と同時借入れで最大2.0%金利優遇あり
上記で紹介した事業者ローンやビジネスローンはほんの一例であり、実際には更に多くの自営業者専用ローンが存在しています。利用には起業の初年度から利用可能なローンがあれば3期分の決算書が必要な商品もあるため、それぞれのローンの利用条件を確認の上申し込みする必要があるのです。
日本政策金融公庫からお金を借りる
自営業者が経営資金を工面したい場合には、日本政策金融公庫からのお金の借り方も選択できます。日本政策金融公庫とは国の政策の下、民間金融機関の補完を旨としつつ社会のニーズに対応して種々の手法により、国民生活の向上に努めている政策金融機関です。
日本政策金融公庫の融資には、国民生活事業、中小企業事業、農林水産事業の3つの融資制度があります。中でも国民生活事業には、自営業者の方も利用可能なおすすめのお金の借り方が多く用意されています。
自営業者におすすめの日本政策金融公庫の貸付
- 普通貸付
- マル経融資(小規模事業者経営改善資金)
- 新規開業資金
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
普通貸付はほとんどの業種の中小企業の方が利用可能
日本政策金融公庫の貸付けとして最も一般的な融資が普通貸付です。利用限度額は運転資金と設備資金であれば最大4,800万円、特定設備資金では最大7,200万円となっています。普通貸付の金利は担保の有無により異なりますが、担保があれば、基準利率で年1.16%〜2.35%という低金利での借り方が可能です。
無担保で普通貸付を利用する場合には基準利率で年2.06%〜2.65%と、担保がある場合に比べて多少高めの金利となります。とは言え、高額融資も可能であり低金利と言える貸付けであることには変わりありません。
普通貸付は、ほとんどの業種の方が利用可能となっていますが、金融業、投機的事業、一部の遊興娯楽業等の業種の方は利用ができません。(日本政策金融公庫「普通貸付」)
マル経融資(小規模事業者経営改善資金)は担保・保証人不要
マル経融資は、商工会議所や商工会などから経営指導を受けている小規模事業者の商工業者が利用できる貸付です。融資の対象となるのは、経営改善に必要な資金となりますが、無担保・無保証人で利用できるというメリットのある制度となっています。
小規模事業者が対象となっているため、自営業の方も2,000万円を上限として年率1.1%の低金利でお金を借りることが可能です。ただし、利用には商工会議所会頭、商工会会長等の推薦が必要となります。(日本政策金融公庫「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」)
新規開業資金は新たに起業する際にも利用可能
新規開業資金は、新たに事業を始める方や事業開始後おおむね7年以内の方が対象となる貸付です。利用には「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」などのいくつかの条件があることに注意してください。
新規開業の方も利用できる貸付であるため、事業年数が短くても低金利で融資を受けられるメリットがあるのです。最大7,200万円(運転資金は4,800万円)の利用が可能であり、条件により基準利率の2.26%〜2.85%か、特別利率の1.86%〜2.45%の金利が適用されます。(日本政策金融公庫「新規開業資金」)
女性、若者/シニア起業家支援資金は起業を支援する貸付
女性、若者/シニア起業家支援資金は、女性または35歳未満あるいは55歳以上であり、なおかつ新たに事業を始める方、事業開始後おおむね7年以内の方を対象に行う貸付です。利用限度額は最大7,200万円(運転資金4,800万円)と高額融資も可能であり、新規起業する方だけでなく事業年数の短い方も利用できるメリットがあります。
運転資金の利用の場合には、状況に応じてそれぞれ特例利率の1.86%〜2.45%あるいは1.61%〜2.20%が適用されます。土地取得を目的とした利用であれば、基準利率の2.26%〜2.85%となりますが、どちらにしても低金利であることに違いはないでしょう。(日本政策金融公庫「女性、若者/シニア起業家支援資金」)
信用保証協会の保証付融資を利用する
自営業の方のお金の借り方には、民間の金融機関だけでなく公的融資の利用も選択肢に入れることができます。公的機関からの貸付けでは日本政策金融公庫の貸付事業が有名ですが、その他にも「信用保証協会の保証付融資」があるのです。
信用保証協会とは、信用保証協会法により中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関です。
自営業者などが金融機関から事業資金を調達する場合に、信用保証協会から「信用保証」を通じて資金調達のサポートを受けることができます。
現在、信用保証協会は全国47都道府県にそれぞれ配置されています。更には横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市の4市を対象とする範囲での信用保証協会も存在しているのです(参考:全国信用保証連合会「お近くの信用保証協会」)。各地域に密着した業務を行っていて、それぞれのニーズに合った保証制度を用意しています。更には個人事業主は無担保・無保証人で利用できるというメリットもあるのです。
信用保証協会で信用保証の申込みをする場合の主な流れ
自営業の方が信用保証協会で信用保証の申込みをする主な流れは以下の通りです。
信用保証協会へ信用保証の申込みをする時の流れ
- 信用保証の申込み:金融機関の店頭窓口または信用保証協会へ出向き必要書類を添付して申込書を提出
- 保証審査:申込み後に信用保証協会において保証審査(審査では訪問や面談が必要な場合もある)
- 保証承諾:審査の結果、保証が適当と認められれば金融機関に対して「信用保証書」が発行される
- 融資実行:「信用保証書」に記載された条件にそって、金融機関から融資が実行される
信用保証の申込みを金融機関の窓口で行う場合、融資適当と認められた後に金融機関経由で必要書類を信用保証協会に提出することになります。
上記の流れで信用保証協会のあっせんにより金融機関から融資を受けることができた時には、同時に金融機関経由で所定の信用保証料を支払う必要があります。保証料の計算方法については、ご利用の信用保証協会で問合せするか、コチラ(東京信用法相協会「信用保証料の計算例」)を参照してみてください。